とりで通信

第128号 保 存 療 法 によ る 医 療 費 節 減


椎貝クリニック  椎貝達夫

7 月下旬の調査では、当院の慢性腎臓病 (CKD) 登録数が 1200 人を超えました。

今年中に 1000 人を越えればよいと考えていましたが、いきなり 1200 人越えで喜ぶと同時に、 本当かな」の気持ちがあります。 というのは 1 回だけ受診しあとは音沙汰なしという人がかなり居るからです。また何の断りもなく途中で来なくなる人も居ます。現在 本当に通 院しているかは、一 人 一 人のID 番号から画面を見て明らかにする予定 です。

ともあれ 3 年半前に始めた診察は大当たりです。皆さんも喜んで下さい。しかし自前の診療所を作れるのは、いつになるかわかりません。ところで保存療法で腎機能を維持できれば、莫大な医療費が削減できることは、 おわかりと思います。なにしろ血液透析の月に40 万円に対し、保存療法はその10分の1程度です。

取手市にお住まいの方で当院に通っている人は 117 人です。この人 達で医 療 費がどれだけ削 減されているか試 算してみました。 図 1 の 72 歳男性の CKD 患者さんは、前医では GFR が次第に低下し、進行していました。前 医での GFR の勾 配から、前の治療を続けていれば、8 ヵ月後には透析療法を必要としました。しかし保存療法によ り進行は止まり、月々の医療費は 4.5 万円で済み、25 ヵ月経過しました。血液透析に入った場合との差額は 40 万円−4.5 万円の 25 倍で、887 万円の医療費が削減できたことになります。しかしこのように前のま まだったらと透析導入月が予測できる人はそうは居ません。前の記録がはっきりしない人が多いのです。

前歴の分かる人は 7 人で、表 1 のように 3680 万円の医療費が節減できました。図 2 に示したように、1 年間の 経過が辿れる人は 117 人中 83 人で、停止が 49 人 59%、寛解は 2 人 2%です。わずか 7 人で 3680 万円ですから停止+寛解 51 人合わせて少なくともこの 10 倍、つまり 3 億 6 千万円余が節減できていると予 測されます。全国から通っている 1000 人余の人で、一体どれ位の医療費が節減されているでしょうか。最近来られた患者さんには、前の経過を詳しく教えてくれる人が多いので、次の機 会にはもっと詳 細な報 告ができると思い ます。

いずれにせよ、保存療法の成績が良くなれば、また治療期間が長くなれば、節減される医療費はさらに巨額になります。  この医療に加算点数をつけ、日本全国どこで始めても採算がとれるものにしたいと思います。来る 12 月 1 日 ( 日 ) つくば市で腎生会が主 催する患 者の会があります。通 院されているCKDの方は都合のつく限り参加して下さい。